農業七色秘宝館

テッカマン

2011.06.27.mon

 もうずいぶんこの業務報告を書いてないような気がするけれど、サイトデザインも一新したことだし、ここらで心機一転!『岡山果物カタログ』興味を持って、ひょっとしたらご購入いただけるかもしれないみなさま方への情報公開の一環として書いてみます。

 未曽有の災害である東日本大震災。民間企業で『うちは影響ほとんどないっす』と言う会社は全国どこにもないのは間違いないほどの歴史的な大災害が3月11日に起こってしまったのは皆様ご存知のとおり。
もちろん被災地の皆様には心から、今までいろいろな災害を目で見たりテレビで見たりしてきたけれど、今回ほど『心から』という気持ちになったことがないほど、心からお見舞い申し上げます。

 じつは私たち『岡山果物カタログ』のシステム。
つまり決められた生産者とスクラムを組んで、お客様の声を伝えてそれをフィードバックして今のお客様に喜ばれる商品(果物)作りをする(マーケットイン的な商品作り)。そして魅力的な美味しい商品を作って、魅力をしっかり伝えて(←ココが重要)価値を高め、高付加価値型で販売する。
このシステムが現在盛んに取り上げられている6次産業化だとか農商工連携にズッポシはまってて、ここ2年ほどは全国の地域をプロデュースする人たちと連携をしている。そしてその一環で東北にはよく講演とかで呼んでもらっている。
つまり3年前までは岡山ローカルでほとんど鎖国状態。他所の県に行くことのなかった『岡山果物カタログ』も、最近は他県の地域おこしをしている皆さんと連携する機会が増えている。そんな矢先のこの大地震。
仙台だったろうか・・、東北の加工業者の人がいっぱい聞きに来てた。確か気仙沼の市役所の人も何人も来てた。
会津若松ではとっても美味しいリンゴを作っている生産者さんと懇意にしていただいた。
皆さんおそらくただ事ではない被害を今回の地震と原発事故で受けていると思う。
で、どうすりゃいいんだ。オレは。

 私たちが住んでいる岡山県は、地震の影響も原発の影響もほとんど受けていない。
コンビニの食料品棚は物でいっぱいだしガソリンスタンドで長々と並ぶこともない。
先日出張でスーツケースを引っ張って東京に行ったら、JRはどの駅も節電でエスカレーターが止まってて、ほんの小さいことだけど地震の影響を感じながらふうふう言ってスーツケースを運んだもんだ。でも岡山県ではそれすら無し。
ちょっとここで考えてみたいんだけど。何をすればいいのだろう、岡山県民は。
もちろん『心はひとつ!東北ガンバレ』『震災に負けるな!応援してます!』と言うのは100%混じりっ気なしにそのとおりなんだけど、それだけでいいの?
引き出物かなんかでもらった新品の毛布が家にあったから岡山県庁の支援物資窓口に持って行ったりもしたけど、それだけでいいの?
街頭で募金もしたりしたけれど、それだけでいいの?
厳しい言い方をするならば『心はひとつ!』と念仏のように唱えながら心に蓋をして、深く考えないようにしているんじゃないのか?オレらは。
国や東電が『大丈夫です』『大丈夫です』と言っているのは全然大丈夫ではない、むしろ『超危険ですよ〜』と言っている役人的な表現であることくらいは薄らぼんやりと理解するようになった。
でも結局のところどこまでが安全でどこまでが安全でないのかの線引きがまるであやふやなまま、風評被害と実際の食ったら被害の出る被害そのもの区別もあやふやなまま、ただ口を開けば『がんばろう日本!心はひとつ!』としか発言することは許されないこの全体の空気は、日本全体がハーメルンの笛吹きの後を追ってゆるやかな集団自殺の道を歩んでいるような気がしてならない。
なんかしないか。もちょっと深く考えて。

 岡山に住んでいるオレは何が出来るのか。
岡山で生産者のネットワークをしっかり組んで果物を販売している業者である私たちが何を出来るか。
果物が販売できます。当然だよな、果物店なんだから。
でも考えてみれば、被災地福島県を代表する農産物は米とリンゴもあるけれど、桃と葡萄も有名産地ではなかったか?福島の桃。福島の葡萄。有名産地じゃないか。
農林水産省のホームページを調べてみると、えっとなになに?平成22年の桃の生産量は全国でおよそ13万6700トン。福島県の生産量は堂々の全国2位で全体のおよそ21%を生産している。・・・だからだいたい2万8707トンか。スゲー生産量だな。
http://www.maff.go.jp/j/tokei/sokuhou/syukaku_momo_10/index.html
一方葡萄は全国トップ5には入ってなかったけど、かなり有名な産地だったはず。
ものごと物凄く安直に考えている気がするが、
1)福島の生産者さんは原発の影響で命懸けで農業やってます。
2)特に小さい子供さんのいる若手農家さんは子供に影響が大きいらしい放射性物質の被害を深刻に考えています。
3)岡山はその点放射性物質の影響はほとんどなく(フランス人あたりには『オ〜〜ノンノン!』と言われそうだがそんなことは知らない)、子供さんの環境として安心できます。
4)生産者仲間を気遣う岡山の桃や葡萄の生産者は、もし福島の生産者さんが岡山に移り住んで、岡山で桃や葡萄を作り始めたら受け入れる気満々です。
この4つの点を結べば、『福島の若手の桃や葡萄の農家さんを岡山に受け入れて岡山で農業を始めてもらう』と岡山の生産者と福島の生産者、そして生産された果物を販売する業者の助け合いモデルの出来上がり。
『何その超安直スキーム』と言うかもしれない。そのとおり、安直です。でも安直で何が悪い。なんか難しく考えることが偉いような風潮があるけどそんなこたないだろ。結果が出りゃそれで良いんだよ。
ちなみに生産者の秋山さんや山下さんは受け入れに乗り気そのもの。
『こんな時に助け合わなくてどうする!』と男気溢れまくる発言にしびれまくり。

 ただここで正直に言ってしまおう。
秋山さんはもう近所の桃が作れるような畑は借りまくって桃を作りたいのに農地が足りない。山を切り拓いて桃畑を増やすきっかけ作りがしたいとの思いがある。もっと言えば自分の力で山を切り拓くのは物凄〜くお金がかかるので、行政の力を借りて山を切り拓きたい。そのためには『被災者の人たちが移り住んできて農業を始めたいけどまとまった農地がありません』となれば話は進むかもしれないという考えはある。
『岡山果物カタログ』にしたって自粛ムードが蔓延しているこの状況でお中元シーズンを迎えれば苦戦は必至。他店との差別化のためにも福島県から岡山へ移住している農家さんの生産物を全量買い上げ、販売するのは会社の企業イメージのアップにつながるのではないかと言う打算もないではない、いや、はっきり言おう、ある。その打算は物凄くある。
でも逆に問いたい。
『がんばれニッポン!心はひとつ!』だけで本当にいいのか?
別の言い方をすると、現在の被災者支援は主にふた通り。
1)滅茶苦茶になってしまった生活に足しにしてもらうために義援金を送る。
2)メッセージを伝えたり、チャリティーコンサートを開いたりで落ち込みがちな気持ちの部分をフォローする。
このふたつ。
これは生活の基盤を失ってしまった方々への寄付と言う形での生活の下支えだし、少しでも明るい未来を思い描いてもらうための心のケア(←こんな言い方あまり好きではないが)で、ともにとても重要だ。しかし社会で生きていくためにはやはり収入を得て、日々の生活をまわして行く。今すぐにもとのような安定した生活を取り戻すことはもちろん無理でも、自己完結型の収入があって支出がある普通の生活の足場作りを考えても良いのではないだろうか。
普通に仕事をしながら家族と暮らす、そんな支援も重要なのではないか。

 そして忘れてはならない視点は今後日本をささえていく大切な子どもたち。21世紀どころかひょっとすると22世紀まで生きているかもしれない未来あふれる子供たちが安心して育つことが出来る環境づくりは、小さいお子さんをお持ちのご家族なら絶対に必要だと思っているはず。
よくわからないけれどセシウムなどの放射性物質の人体への影響は、大人に比べて子供は数十倍と言われているらしい。そもそもこの『影響が数十倍らしい』といささかファジーな表現になるのは、実際放射性物質とかが人体にどれだけ影響を与えるのか今までのサンプルが無い、評価のしようがないからなわけで、今の国などの言っていることは『ただちに影響はないけど将来的にどんな影響があるのかはサッパリわかんないっす。でもネガティブな反応をするのは全て風評被害なのでネガティブな行動はすべて禁止』みたいなほとんど無茶苦茶なことを言っているわけで、大切な子どもさんを育てている人たちにとってはそんな不正確で不安定な理屈で今まで通りの生活を送れと言うのは心配この上ないのではないかと思う。
少なくともオレならそう思う。
福島の皆さんの生活再建の一助をしたい。そして特に小さな子供さんは安心して暮らせる岡山に受け入れたい。そんな思いがムクムクを頭をもたげ、関係者を説得して考えたのが『福島で困っている生産者さんを、岡山県の総社に受け入れる。収穫されたものはうちが買う』と言うプラン。
この安直極まりない計画を思いついて驚いたことは、周りの人たちが『是非協力したい』と次々集まってきたこと。
生産者の秋山さんと山下さんももちろんそうだし、受け入れるには地方自治体の理解も得ないといけないと思って相談した総社市の片岡市長も超乗り気。『おい、さっそく空いてる雇用促進住宅とかで受け入れるように何とかしろ!』と部下の方に即指示(ヤル気の人は即断即決だよな)
山陽新聞の記者さんも『これ絶対書かしてください!』とノリノリのノリスケさん。

ちなみに以下がその時の記事(山陽新聞2011年5月8日号

みんな心の底では思ってるんだよ。
今前を向いて何とかしたい。なんとか実になる支援をしたいって。
今後この案件がどうなるのかはまだわからないです。
逆の立場で考えれば、どんな条件であれ生活の基盤である地を離れる気持ちになれないのはよくわかるし、そもそもそんな海の物とも山の物ともわからない土地のわからないプランに乗れない気持ちも大いに理解出来ます。
ただ私たちは、農業で働く場と、住む家と通う学校、そして生産されたの桃や葡萄を再生産価格で買い取るこの仕組みをご用意して、被災者の皆様に提案していきたいと思います。
総社の生産者も総社市の市長も、もちろん私自身もはっきり宣言します。
『岡山で農業を始めませんか』

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